続極道辻説法

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今東光「極道辻説法」「続極道辻説法」を40年ぶりに熟読~令和時代にもグッと胸に刺さる名著でした。

こちらの記事は以下の記事続編にあたります。

こちらからCHECK

瀬戸内寂聴 残す
瀬戸内寂聴さん訃報~人生最大の影響を受けた今東光和尚の「極道辻説法」を思い出す

2021年11月9日に、尊敬してやまない瀬戸内寂聴さんが99歳で亡くなりました。 個人的にはもう悲しくて仕方ありません。 心からのご冥福をお祈りいたします。 瀬戸内寂聴さんの波瀾万丈人生は、すでに多く ...

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前記記事で宣言しておりましたが、今東光和尚の今や絶版となっている
「極道辻説法」「続極道辻説法」の中古本を購入しました。

本記事のヘッダー画像は購入本の実写でして、
中古というより発売後40年の時を経て、すでに
古書、古文書という言い方のほうが合っています。

写真ではわかりにくいかもしれませんが、両方とも
ヤケ具合も相当で、シミもあり、
藁半紙のような紙質にびっしりと字が埋め込まれております。

細かい字で、極道辻説法は254ページ、
続極道辻説法は258ページ。

定価はそれぞれ当時780円(消費税なしの時代)ですが
数倍のプライスで取引されており、気合いとともに購入ボタンを押しました。

 

少年時代にむさぼり読んでいた週刊プレイボーイの
この人生相談は、令和の今でもそのまま通じる
歳を食った分、自分自身のガキの頃と比べてはるかに深く
読み込むことができ、そういう思いを強くしました。

と言いますか、そのまんまのことが今も起こっている
と思ったほどで、いつの時代も同じことが繰り返されているのですね。

悩み相談は1970年代半ばで中学生から30歳前後の社会人からがほとんどです。

今と時代背景は異なるものの、人間の悩みはそれほど多く振れるものではなく
やはりいつの時代も似通ったようなものだと痛感しました。

わたしたちはどこから来て、
なにをして、どこに行くのか。

当時の、悩み苦しみもがいた若者たちの声を聞き、
今東光和尚の「喝」と「愛」が繰り広げられ
今どうすべきか、一陣の風が吹き抜けたように心地よく
新たな今日に向き合っていく気分になれました。

 

遊戯三昧(ゆげざんまい)

「極道辻説法」の第一章『青春と学生生活』の最初に出てくる
相談内容を引用してご紹介したいと思います。

「青春」という言葉自体が今や死語のような扱いですが(笑)
当時の私はこの問答で、一瞬でファンになりました。

今読み返しても、そうだ!と頷く自分がいます。

※以下、文中の赤字部分はKENBOの個人的判断による変更です。
 また実際の書籍には『本名』が記載されている場合も多いのですが、
 こちらはイニシャルに修正しております。

 

★青春とは
青春とはなにか?勉強か。スポーツか。遊びか。恋愛か。
もっとも有意義な青春の使い方を教えてほしい。
(長野県 高2 W)

十六、七の小僧っコにオレが説法したって、てめえにはわかりゃしねえな。
わかりゃしねえけど、四文字だけ教えてやる。
それは『遊戯三昧』(ゆげざんまい)という言葉だ。
青春も人生も人間も、遊戯三昧の境地にならにゃあ、真の人生も人間も青春もわかりゃしねえんだ。
だから大いに遊べ。遊戯三昧で、遊んで遊んで遊びつくせば、何かに突き当たってつかむものがある。
 とにかく人生は遊戯三昧よ。
スポーツも恋愛も勉強もな。それに没頭しつくして、とことんやれば必ずなにかがある。
だからそこまで行け!
『遊戯三昧』と書いて壁に貼って、オレの教訓だと思ってやんなよ。

 

こういう話を、昭和時代のただの精神論だと遠ざける人もいるはずですが、
私は長い社会生活のなかで、やはりモノゴトに没頭しやりきる人は強い
としみじみ感じています。

このブログをお読みの方が、単に"ネットで稼ぎたい"という動機からであっても
本当にそうなるかどうかは、やりきる意思を維持し、自分が納得できるまで
やれるかどうかだけの差だと痛切に感じます。

思うに『遊戯三昧』に徹している方は、何をしていても必ず何等かの形で残っています。
残っているだけではなく、自分以外の他者へ何等かの影響も残しているように思います。

この『遊戯三昧』から始まる怒涛の「極道辻説法」、それから「続極道辻説法」を
何度目かの熟読で、本当に胸のすくような抱腹絶倒のドラマを味わいました。

 

シミだらけのこの古文書とも言える宝物には
素敵な話が山ほどちりばめられています。

以下、まぁここまでなら世間からギリギリ『引用』として認めてもらえるだろう
と自分で線を引いてみて、2,3の問答をご紹介したいと思います。

 

男のやさしさを探る

★男のやさしさとは?
和尚!俺の問いに答えて欲しい。
和尚が考えている『男のやさしさ』とは、ズバリ何だと思うか?
(佐賀市材木町 浪人 18歳 葉隠のかざぐるま)

”男のやさしさ"って、これは理解と同情を持てる人のことだよ、老若男女に限らず。
というのは、よく「理解」と「同情」を並べるけど、これは同時じゃないんだ。
必ず「理解」が先で、それから「同情」が生まれるんで、理解しなきゃ同情なんて沸かないよ。
この「理解と同情」が幅広くできる人ーーどういう問題に対しても同情できるっていう、そういうのが本当の男のやさしさなんだ。
オレなんて、女のコに対しては常に理解と同情を持っているからな。
本当にやさしい男ですぞ、今東光は。

いい男の定義みたいなものですね。

少年時代の私も、そうだそうだ!と心の中で頷き
何十年も経った今、やはりそうだそうだ!と頷いています。

 

愛し愛されるためには

★女を自分から口説くべきか
今年で十九歳だが、いまだに恋愛の経験もなければ女ともだちもいない。
しかし、まんざらもてないわけでもない。
今明らかに自分に気があると女は何人かいるが、自分から声をかけようという気はあまりない。
どっちかというと、愛するというより愛させてやるという気でいる。
しかし、この年で女ともだちすらいないので、仲間からオカマじゃないのかと疑われ始めてきた。
やはり女から声をかけられるのを待つより、傲慢な態度をやめて自分から口説いていかなくては、女なんてできないものなのか。
(長野県更科 スーパー・スター)

こりゃあね、本当の気持ちが引っくり返って出ているんだ。
おめえの本心は女に愛されたいんだ。「女に愛させてやる」とか言うけど、愛させてやる力もないもんだから、要するに女に愛されたいわけだ。
本当に自分が愛されたいんだったら、全然違う行動に出られるはずだ。それが反撥して、オレに惚れてみろというようなことを言ってそっくり返っているけど、本当は愛されたいだけなんだよ、おめえは。
おめえみたいな奴に一つだけ忠告しといてあげよう。
おめえは一人のいい女を見つけたら、それにひれ伏すような謙虚な気持ちになれ!
そこから出発するんだ。
恋だの愛だの言う前に、まず己の心を空(むな)しゅうして、謙虚になってひれ伏す。
愛する人の前にひれ伏すという気持ちにならなければ、女を愛することもできないし、女にも愛されない。いまみたいに心を武装していちゃだめだ
見方を変えりゃあ一種の内弁慶だよ。
とにかく、謙虚にひれ伏すだけの勇気を持つことだ。

 

この話をここで紹介したのは、少年以降の私自身の女性観というものに
とても大きなインパクトを受けたからです。

白状すると、私の商品である「Ashura」(シン・アダルト動画アフィリエイト)
不思議なものでこの女性観があったからこそ作ることができました。

自分なりの哲学をもってやってきたことを教材化したのですが、
私自身のマル秘Ashuraアダルトサイトは、数か月何もしないでも私自身も馴染みのない
国からのアクセスも積り、たまのメンテ程度で勝手に利益を上げてくれてます。

いやぁ、日本だけではなく世界には私と同じような感覚、捉え方を
してくれる同志のような人が常にいるのだなぁと、
ぶれなくてよかったと思っていますがこれは今東光和尚のおかげです。

ドイツの精神分析学者、エーリヒ・フロムの「愛するということ」
を学生時代に読んだときも感銘を受けましたが、和尚はもっと
シンプルに強烈に教えてくれました。

 

 

この世で一番必要なものとは

★この世で一番必要なのは
ズバリお答えいただきたい。
この世で一番必要とされるものはずるさだ、と小生二十三歳にしていやいや認めざるを得なかった事実がこれだ。無論、一番必要なものが、一番大切なものだとは限らないが。
(武蔵野市 ガードマン K)

たった二十三歳の若さでよ、どんなひどい環境にいたのか知らねえが、そんな考え方じゃだめだ。
人生で一番大切なものは、あくまでも正直であり、誠実であり、愛情であるんだ。
そういうものを表に立ててさえ、本音になると時々変なことになるくらい人間て弱いものなんだ。
それを初めまら"ずるさ"なんてぬかすなんざあ、人間のクズにもなれやしねえ。
(中略)
やっぱり真面目に誠実に必死になってぶち込んでいって、あっちでぶつかり、こっちでぶつかり、いかに世の中はずるい壁が厚いかという体験をしながら、それに巻き込まれずに乗り越えていくのが成功者というんだ。
(中略)
ずるさというのは弱者のひとつの手段だからね。
強ければ前向きの姿勢でいけるんだ。なにもずるくする必要すらない。
ずるさというのは弱者の武器というよりも、弱者が編み出した自己防衛の卑劣な手段にすぎないんだ。
それをかんちがいして「人生はずるさだ」などと悟ったようなことを言うようじゃダメだよ。
てめえは小人であることを自ら証明しているようなもんだ。もっと大人(たいじん)にならなきゃいけねえな。

 

当たり前のような話ですが、やはり人は弱い動物でもあり
大切なことをおろそかにしがちです。

でもやっぱり大事なことってこういうことだよね、
ということを思い出させてくれる問答でした。