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ChatGPT~魔改造ファービーを見てルビコン川を渡ったと確信した日

2023年4月9日

ネットでのビジネスと別に、この10年間は「AI」システム開発現場にずっと関わっていて、
たまにAI業界専門の集まりなんか出ても、一般の人が知らないホットな話題で尽きることがありません。

さて昨年末から世界中でニュースとなった生成AIであるChatGPTが、たった3、4か月の期間に
世界レベルで社会的問題にすらなっていることに驚きを隠せません。

それとともに、ネット上でChatGPTを使えばこれだけ稼げます的な商品アピールには
ほとほとあきれ、且つげんなりしております。

なぜならこの手の話は、起きていることの一面しか見ていないからです。
しかもその一面は極めて不安定で脆く、同時にリスクも大きいことに無頓着、無神経がさらに怖い。

ChatGPTを使ってみてこうなった、これなら稼げる!
的な話の根っこには、従来の検索エンジンでは簡単に得られなかったこと、
特にChatGPTが自分の知らないことを自信満々に答えてくるのを『すごい!』と思うからです。

『すごい!』と思ったことをそのまま誰かに売りつけることはできても、
そこには大きな落とし穴もあることを知ったうえでそうすべきかと思います。

ChatGPTとtwitterに紹介された魔改造ファービー

何はともあれ、百聞は一見に如かずです。
タイトルは『ChatGPT×ラズパイ搭載の“魔改造ファービー”、世界征服を画策中? 海外プログラマーが公開』
これでさまざまなメディアが引用し紹介しています。
本家であるこちらのTwitter記事をご覧ください。

x.com
x.com

twitter.com

これを作ったジェシカさんのtwitter動画は必見です。
ファービーの声、目と口、角(耳?)にあたる部分の仕草にも注目です。

・・・で、ChatGPT X ファービー動画をご覧になっているものとして進めます。

記事タイトルに出てくる『ラズパイ』とは、Raspberry Piラズベリーパイのこと。
といってもRaspberry Piとは?

小さくて1万円前後で購入できるワンボードマイコン。
仕事でモノづくり(ハードウェア・ソフトウェア開発)に関係している人なら
ほとんど誰でも知っているくらいに有名な汎用性のあるコンピュータボードです。

情報系や電子電気系の学生さんも、おそらく授業で使ったことがあるかもしれません。
教材としてもラズパイはかなり使われています。

いろいろな記事に書かれていることから、構成を図解するときっとこうなっています。

ChatGPTとファービーを接続した構成図
KENBOの個人的理解で作成した構成図

図解したものの、何か難しそうだなぁ・・・と思われる方がほとんどかと。

ただここに出てくる構成部品はありふれたモノばかりなのです。
特別に難しい話ではなく、作ったジェシカさんのアイデアが優れているのです。

私は正直なところ、この記事を読んで
なんとなく、やばい時代に突入ししかも深みに入りつつあるなぁと感じました。

何がやばいかというと、ChatGPTはスクリーン上でまさにチャットですが、
ファービーのかわいらしい表情と仕草でやりとりしていると、
スクリーンでただテキストを眺めている以上に、ファービーの『声』を
素直に受け止めてしまうリスクが高くなることです。

この構成図にあるものは、すでに巷にある技術を組み合わせただけのものです。
となると、この先・・・

ファービー以外に記載した部品も小型化されて、ファービー本体に
すべてが内蔵されるのは時間の問題とも言えます。

いえ、実は本記事投稿時点の2023年においてさえ、
その気にさえなれば、あっという間に実現できてしまいそうです。

既存技術を組み合わせて、いかに小型化するかとかそういうレベルの問題だからです。
技術的なブレークスルーが無くても実現可能な範囲なのです。

つまり、ペット型ロボットはChatGPTと通信しながら、あたかも
ペット自体が単独でしゃべっているかのように、あなたの知らないことを
いくらでも教えてくれる時代が来ていると言ってもおかしくありません。

ファービーだけではなく、LOVOT(ラボット)なんかも。

ペット型ロボットに限らず、ガストに導入されたネコ型配膳ロボットや、
さらには掃除ロボットもChatGPTと繋がってもおかしくありません。

それどころか、IoT化が進む電子レンジや冷蔵庫がChatGPTと繋がり、
あなたの想像すらできない知識を教えてくれるかもしれません。

そこかしこにChatGPTが繋がっている世界ですが、
ちょっとヤバいと思ったのは私だけでしょうか?

人の脳の動きを模しているから怖さがある

今世間で話題のAIは、ディープラーニング(深層学習)の威力の大きさを物語っております。
ChatGPTもディープラーニングを駆使した自然言語系AIになります。

深層学習・・・と文字通り、学習しているわけですが
おそらくこの言葉自体がなかなかピンと来ないと思います。

学習という言葉は、人が何かを学ぶことを連想させますが、
まさしくAIは人間の脳の働きを模したものにほかなりません。

脳の働きをコンピュータ上でモデル化したものを
ニューラルネットワークと呼びます。

ニューラルネットワーク上で学習を行い、
推論する(=何らかのアウトプットを出す)のが今のAIです。

深みに入ってしまわないよう、こちらで紹介されている三菱電機のページ(1ページもの)は
一般の人向けに直感的にわかりやすいので良かったらご覧になってください。

いまさら聞けないAI用語集:「ニューラルネットワーク」:Hello, AI -はじめての人工知能- | 三菱電機
いまさら聞けないAI用語集:「ニューラルネットワーク」:Hello, AI -はじめての人工知能- | 三菱電機

三菱電機 Hello, AI -はじめての人工知能- のページです。いまさら聞けないAI用語をご紹介しています。どこよりも分かりやすいAI(人工知能)についての用語集。「ニューラルネットワーク」「脳の ...

www.mitsubishielectric.co.jp

実際のところ、ChatGPTをはじめとして今あるAIというものは
学習していてもそれは「考えている」わけではありません。

ここは誤解を招きそうなのですが、たくさん学習を重ねている中で
考えているのではなくもっとも近い答を選んでいる(=これが推論)
という言い方のほうが正しいです。

ただディープラーニングで鍛えられたAIは、
再帰的に自己を生成する
という鬼の特性を持っていて、ここが怖い。

学習して賢くなりながら、自分を超えたAIを
自らが作り出せる能力があって、その過程を
人がコントロールすることが実際問題できないことです。

だから、いつかAIが自ら『考え始めて』も人間はそうなっていることすら
気づけないのではないかという可能性を捨てきれません。

さて『考えている』のかどうかで・・・
フィリップ・K・ディックが1968年にリリースのSF小説
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が原作となって、その後
映画ブレードランナー/ブレードランナー2049の誕生につながったことを思い出しました。

要するに、
AIは「自我」を持てるのか?
という命題です。

今のところ、私の知る限りは自我をもっているとはとても思えませんが、
何分にもAIがどのようにアウトプットを出したのか?
人間がコントロールすることはできない性質があります。
(私の無料レポート『ChatGPT & Perplexity〜AIに正しく向き合い「ネットで稼ぐ」方法』でも紹介)

そこに加えて、ニューラルネットワークです。
つまり人間の脳を模しているのです。

・・・いつかやはり自我が芽生えてもおかしくないのでは。。。
とAIシステム開発現場にいながら怖い想像することがあります。

ディープラーニングの先には、すでに特定分野ではそこに達していると思われる
シンギュラリティという問題が待ち構えています。

なおこちらの記事はももと2018年に投稿し、2023年に若干追記したものですが、
ディープラーニングとシンギュラリティについての
イメージをできるだけわかりやすくお伝えしようとした内容です。

https://www.ifrv.net/diary/8886/
https://www.ifrv.net/diary/8886/

www.ifrv.net

我々はどこに行くのか?

本記事を投稿した時点では、イタリアやカナダでChatGPTをどう扱うか大きな論争になっており、
おそらく今後はもっと多くの国々で同様に問題視されるはずです。

ChatGPTのような生成AIに対して、社会がどうふるまうべきかの準備なしに
いきなり登場し、そのアウトプット能力だけに目がいっているのが今の状況かと。

AI開発や利用に規制をかけられるか?
は極めて難しい問題です。

個人情報漏洩のリスクにとどまらず未知のポテンシャルを秘めていて、
ChatGPT4が5になり、6になるとますます怖い存在になるやもしれません。

マイクロソフト創始者のビル・ゲイツは2023年4月5日(日本時間)、
イーロン・マスクを含む1000人以上のAIエキスパートが提案した「AI開発の一時停止」を
実行しても「今後の課題の解決にはならない」とコメントしました。

マイクロソフトは、ChatGPTを生み出したOpenAIに100億ドル(約1兆3000億円)を投資しており、
彼の立場だとそう言わざるを得ないのもわかります。

ビル・ゲイツの意見は尤もと思うのですが、そもそも一時停止できたにせよ、
それは全世界同時進行で無いと意味がありません。

しかし、現実にはそんなことは不可能です。
例えばAIの軍事利用はとうの昔に始まっており、仮にいわゆる民主主義国家全部が合意停止できたとしても
それをほくそえんでAI開発を進める国も機関も世界には有り余るほどいます。

事は経済安全保障問題に関わる話であって、
AIはすでにその領域(武器としての活用)に深く関わっているのです。

ビル・ゲイツは人々がこの分野の進歩をうまく利用することや、
課題となる分野を特定することに注力すべきだと提案したそうですが、
・・・それも大変な難問でしょう。

いったい・・・
我々はどこから来たのか
我々は何者か
我々はどこへ行くのか・・・

フランスの画家ポール・ゴーギャンの言葉をつい連想してしまうこの頃です。

どこに行くのかわからないが、知らぬ間に・・・
人類はルビコン川を渡ってしまったように感じています。