数年前まで、厳密には2022年末に近いChatGPTが世に登場するまで、
キャッチコピーやLPを作るのは、完全に「人による仕事」でした。
いわゆるコピーライターという職業です。
AI登場前に知り合った30代のあるコピーライターからは、10年近い活動を通じて
累積10億円の売上を出してきたと聞き、純粋に「スゲー!!!」と感じました。
この仕事は人間以外には無理!
と妄信していましたが、現時点では一定のレベルまでは生成AIがとって変わりつつあります。
かといって、完全に置き換わるわけではない、今はそんな状況です。
ひとつ前の記事で、ユヴァル・ノア・ハラリのダボス会議での発言をもとに
「人間社会を支えてきた“言葉でできた仕組み”の中へ、AI自身が入り始めている。」
ように見えることを述べました。
コピーも、言葉でできた仕組みに属すると考えられます。
未来についてどうなるかはわかりませんが、AIには現在超えられない壁があると思います。
人間にしかないもの、そのひとつは、肉体を伴う体験と感情です。
この体験による苦痛、喜び、悲しみ、楽しさ、恋、いたわり・・・
といったようなありとあらゆる感情を、AIは持ちえません。
これを象徴した痺れる言葉があって、頭から消えません。
それは、映画イコライザーで、主人公デンゼル・ワシントン演じるロバート・マッコールの、静かでありながら底知れぬ優しさが伝わる素晴らしいセリフにあります。
Body,mind,spirits.
「体と心、そして魂だ。」
たった3つのWORDが並んでいるだけですが、相手と状況によって深すぎる。
マッコールが、深夜のダイナーで言葉を交わす娼婦の少女、テリー(クロエ・グレース・モレッツ)にかける言葉ですが、ラストシーンにも再び登場します。
少女が自分自身を安売りせず、心身ともに大切にできるよう優しく諭すセリフ。
「父親のような優しさと励まし」が込められています。
体、心、魂と揃うとなると、少なくともAIには該当しませんよね?
なにかで立ち止り、心が折れそうなときになぜかこのセリフが浮かび、
元気をもらって自分を奮い立たせています。
刺さるコピーにはそんな力があるのだと実感します。
このあとご紹介するコピーに、あなたももしかするとクスっと笑ったり、そうだよなぁと相づちをうったりするかもしれません。
私の個人的な偏った選択ではありますが、名コピーの数々をご紹介しますね!
あ、この言葉、気にになる展2
「気にになる」は誤記ではなく、イベントの正式名の一部です。
クリエイティブディレクター・明円卓さんを中心としたチーム『entaku』によるイベントです。
1985年から2025年までの「コピー年鑑」から116点を選んだ珠玉のコピーばかり。
こちらにご案内している「美術展ナビ」のサイトですが、
数々の名コピーがイベント内の撮影画像として掲載されていて、
これだけできっとジワジワくる人も多いんじゃないかと想像します。
👇👇👇
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【開幕】「あ、この言葉、気にになる展2」虎ノ門ヒルズ・TOKYO NODEで10月17日まで 名コピー116点を厳選した言葉の展覧会 吹き出しちゃうけど考えさせられます – 美術展ナビ
東京・虎ノ門ヒルズの「TOKYO NODE」で「あ、この言葉、気にになる展2」が、10月9日から17日までの会期で開幕しました。「虎ノ門広告祭2026」の一環で、昨年に続く開催です。過去40年間にクリ ...
artexhibition.jp
私のお気に入りもついでにピックアップしますね。
- うらやましいことに、まだ人生を選べる。
- スキかキライか、二文字以内で答えなさい。
- 迷ってるってことは、やりたいってことだよ。
甘い生活~島地勝彦さんのコピーが刺さり過ぎる
島地勝彦さん、と言えば当ブログでも何度かご紹介していますが、
私が学生時代からずっと憧れ、尊敬してきた方になります。
貧乏学生ながら、毎週買わずにいられない、そんな週刊誌に「週刊プレイボーイ」という、
なんとなく名称からして気取ったエロっぽい雑誌が有名でしたが、中身はエロだけではありません。
むしろ当時、迷える若者への指南書のように感じており、欠かさず買っておりました。
島地さんは『週刊プレイボーイ』編集者という立場的には裏方で仕事をされ、
1982年に同誌の編集長に就任、その後毎週100万部の雑誌に育て上げた方です。
昭和の大物、今東光、柴田錬三郎、そして開高健などから大変に可愛がられ、そのことを、或いはそうなるための人生の渡り方を書いてくれ、救われた人は多いに違いありません。
さて、1995年ごろのサントリーウイスキー山崎のCMで、
「何も足さない。何も引かない」
は島地さんがよく似てると言われた、開高健さんの名コピーのひとつ。
文豪に可愛がられた島地勝彦さんは、今は絶版となっていますが
「甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者」
にて、なんとも素敵なコピーを連発してくれました。
かの瀬戸内寂聴さんが、「推し」ておられた名作です。
こんな表紙です。上のダンディが島地勝彦さん、左下は今東光和尚ですね。
ファンならすぐにわかります😉

この本には、数えきれないほどの名コピーの宝です。
といっても、世代によってピンとくる人、性別でも意見が分かれるところでしょう。
私のお気に入りを数点、並べてみますね。
- 人生の醍醐味は、妖しいところに隠されている。
- 人は見たいものしか見えない。
- 男と女は誤解して愛し合い、理解して別れる。
- 一つ屋根の下で暮らすと、オスとメスの関係は消滅する。
- 知らない悲しみより、知る悲しみのほうが上質である。
いかがでしょうか?
私にはどれもが人生の奥深さ、人とは何かを深く洞察しているように思え、
たじろぎ、次に腹に落ちてくる気がしています。