その昔、普通に会社員だった時代のころよく思いました。
毎朝決まった時間に出社する。上司や会社の方針に合わせる。
やりたい仕事だけを選べるわけではない。
給料は大きく増えない(役職離任からは逆に大きく減る)のに、
責任だけは増えていく(役職離任以降はかつての部下に指示される存在)。
そんな日々が続くと、フリーランスという働き方がとても魅力的に見えました。
好きな場所で働けて、嫌な人間関係から離れられるし自分の力で稼げる。
うまくいけば会社員以上の圧倒的収入で、何より楽をしながら
1年の半分くらい南の島でゆっくり過ごせる・・・(笑)
たしかに、それは私にとって憧れのフリーランス像でした。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
フリーランスは、会社員の延長線上にある「少し自由な働き方」ではありません。
会社員とは、収入の仕組みも、社会保険も、税金も、仕事の取り方も、まったく違う働き方になります。
そして、安易に「自由になりたい」「個人で稼ぎたい」という気持ちだけで独立すると、
思っていた自由とは違う現実に直面することになります。
かつて私のメルマガ読者のひとり(40代女性)から、
「会社を辞めることにしました。方針についていけません。
だからこれからはフリーランスとして何としても稼がなくてはなりません」
と宣言した方がいらっしゃいました。
しかし、現実はそんなに甘くありません。
その方は翌月には別の会社を探して潜り込み、また数か月後に退職し、
今度こそと言ってはフリーランス再出発、
しかしすぐにまた別の会社へ・・・を繰り返すはめとなったと聞きました。
この記事は、会社員・フリーランス・法人化の違い、
さらにフリーランスエンジニアの働き方に関する調査レポートをもとに、
フリーランスという働き方の現実を整理してみました。
因みに私は現在、会社リタイヤ後も幸いにして掛け持ち「複業」中であり、
この記事でいうところの完全フリーランスではありません。
ひとつの会社に縛られてはいませんし、その点では少し自由度がありますが、
過去の会社員一本だった頃、会社員として副業もやっていた頃、そして今の
いくつかの会社との仕事を兼ねている状況です。
(=どちらかというとフリーランスに近いが、全体として企業ニーズに合わせて仕事している状況)
これらから、純粋に会社員としての立場、会社員+副業の立場、
フリーランス的な立場のそれぞれを体験できているため、
その視点で整理してみました。
会社員とフリーランスは、そもそもの土台が違う
まずは、法的な枠組みから入ります。
守られている仕組みの違い
会社員とフリーランスの違いは、単に「会社に所属しているかどうか」だけではありません。
大きく違うのは、守られている仕組みです。
会社員は、毎月の給与から税金や社会保険料が天引きされます。
手取りだけを見ると「けっこう引かれているな」と感じるかもしれません。
しかし、その裏側では会社がかなり多くの手続きと負担を肩代わりしています。
厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険、源泉徴収、年末調整、住民税の特別徴収。
会社員本人が意識していなくても、会社が制度の中で守ってくれている部分はかなり大きいのです。
一方、フリーランスになると、その多くを自分で管理することになります。
年金は原則として国民年金。健康保険は国民健康保険。雇用保険は原則なし。
労災保険も原則なし。税金は自分で確定申告。
売上、経費、請求、入金管理も自分で行う。
つまり、会社員時代には見えにくかった「会社がやってくれていた仕事」が、
独立した瞬間にすべて自分の仕事になるのです。
ここを軽く見ると、独立後にかなり苦しくなります。
因みに「会社員だけど副業をしている」人も、確定申告だけは個人で必須です。
ここを甘く見ないためのレポートをこちら(↓)に公開しています。
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「副業だから」の油断が招いた悲劇。会社員時代に税務調査に入られた私の実録を対処法・予防のマニュアルに。|KENBO:AIの仕事・コンテンツ販売・アフィリなど"複業クリエイター"進行中~中高年世代を応援
眠さを吹き飛ばした見知らぬ電話😨 それは、まだ夏の気配が少し残っている初秋の午後でした。 私は会社の会議室にいました。外は晴れていたと思います。 けれど会議の中身は、晴れやかなものとはほど遠いもの ...
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会社員・フリーランス・法人化による社会保険・税金の構造比較
以下は、会社員、フリーランス(個人事業主)、法人化(ひとり社長)において、
社会保険や税金などの違いを示した比較表です。

フリーランスでも単に個人事業主の場合と、法人化した場合にはいろいろと違いが出てきます。
会社を辞めてすぐに法人化するケースもあれば、とりあえず自由だ!とそのことに
目が眩んでいるだけのケースもあるでしょう。
普通にフリーランス(個人事業主)の場合、年金にも影響があります。
年金なんぞこれからの時代、あてにならない、という意見もありますが、
こういう制度は破綻すればそれは国家として維持できるのかどうかという死活問題。
制度の中身は変わっても続いていくでしょう。
健康保険なども労使折半が無くなり、自活を求められます。
普通に考えて、会社員の何倍かは稼いでいないと余裕をもてないはずです。
かつて私が所属していた企業では、1人雇うということは、
その人が生み出す利益を別にカウントすると、給料の3倍くらい会社としてはかかっている、
と総務・人事関係者から聞いたことがありました。
これは比較的大きな企業だったせいもありますが、それでも会社員時代の
最低でも1.5倍から2倍は稼がないと、フリーランスとしてやっていけないのではないでしょうか?
特に家族持ち、扶養する人がいるとなると、より大きなプレッシャーだと思います。
フリーランスの自由の魅力と、守られない現実
以下の話は、フリーランスのエンジニアを想定しています。
私自身がエンジニア上がりでもあり、業界の中での状況にそこそこには通じていると自覚しています。
ただフリーランスエンジニアに限らず、デザイナー、ライターなど共通している点が
多々あると判断しています。
また掲載したグラフは、IT Mediaの会員記事「フリーランスエンジニアの理想と現実」(2026.6.3)を
ベースにしてKENBOが作成したものとなります。
フリーランスは「自由」だが「無防備」でもある
フリーランスの魅力は、なんといっても自由度でしょう。
働く場所を選びやすい、働く時間を調整しやすい、案件を選べる(或いは可能性がある)。
人間関係のストレスを減らしやすい。
上司のえこひいきに左右されがちな会社の評価制度に縛られにくい。
実際、IT Mediaのフリーランスエンジニア調査レポートでも、
「今後もフリーランスとして働き続けたい」と答えた人は72.7%にのぼっています。

理由としては、「働く時間や場所を自由に選べるから」が66.2%、
「人間関係のストレスが少ないから」が48.8%、
「組織に縛られずに働けるから」が47.5%とされています。

これは、フリーランスという働き方に確かな価値があることを示しています。
ただし、自由には必ず裏側、代償となるものが存在します。
一方で、フリーランス継続したくない人の理由はこうなっています。

会社員であれば、仕事が少し暇な月でも基本給があります。
病気で休んでも、有給休暇や傷病手当金などの制度があります。
会社都合で仕事がなくなった場合にも、雇用保険があります。
しかし、フリーランスの場合、案件が止まれば売上も止まります。
仕事をしなければ収入が入らない。
案件が切れれば、翌月から収入がゼロになる可能性がありますし。
病気や家族の事情で働けなくなれば、そのまま事業の危機につながる。
この意味で、フリーランスは自由であると同時に、
正直なところかなり無防備な働き方であると言えます。
つまり、この後で触れますが、無防備ゆえにフリーランスで生き抜くには、
覚悟と計画や行動力(特に集客、営業力)が365日要求されるのだと理解しています。
案件獲得と収入が不安定の現実
案件獲得は「自由」ではなく「生命線」だと思っています。
フリーランスにとって最も重要なのは、スキルだけではありません。
もちろん、技術力や専門性は大切です。
しかしそれ以上に重要なのが、案件を継続的に獲得する力です。
まずはフリーランスの立場から考えていきましょう。
調査レポートでは、フリーランスエンジニアの案件獲得経路として、
最も多いのが「知人・友人からの紹介」で41.8%。
次いで「企業との直接契約」と「過去の取引先からのリピート」がそれぞれ37.3%となっています。

これは一見すると、信頼関係をもとに仕事が回っている良い状態にも見えます。
しかし見方を変えると、かなり属人的です。
特定の知人、過去の取引先、昔からの人脈、一部の企業との関係ですね。
こうしたつながりに依存していると、その関係が切れた瞬間に案件が途切れます。
まぁ、普通に社社間の取引でも案件が終了すると、関係が薄くなりますけど。
フリーランスという個人ではその影響が直撃します。
紹介してくれていた人が異動する、取引先の予算が削られる、
プロジェクトが終了する、企業側の方針が変わる。
こんなのは数え切れない理由がありますがそれだけで、収入の土台が揺らぎます。
フリーランスは「自由に仕事を選べる」と言われます。
しかし、実際には
「選べるだけの案件獲得力」があって初めて自由になります。
案件が少なければ、選ぶどころではありません。
これを発注側の企業の立場で考えると、もっと厳しく見ていると言えます。
なぜかを私の体験踏まえて説明しますね。
まず、エンジニアの仕事としてフリーランスに発注するということは、
その発注部分をきれいに切り出す必要があります。
フリーランスエンジニアに対してのインプット、アウトプット、それから
前提条件などもろもろを文書化しなくてはなりません。
これはどなたもお分かりでしょう。
しかし、問題はその切り出しのために誰かの工数を伴い、
エンジニアからのアウトプットにも検証が伴うことになりそこにも工数がかかります。
しかも継続して毎月発注すると、それだけでも面倒な工数が発生します。
規模の大きなシステム開発になると、ごく一部をフリーランスひとりへ
発注することのリスクも急激に大きくなります。
途中での経過報告、バグや障害対応での日々の確認等いろいろで、
出来上がったらそれをください、では済まされないのが普通です。
どうしても一部を外部に切り出して発注するとなると、
その必要性、どこまで継続するか、途中と成果物の確認、その後のフォローなど
いろいろに計算してそうするものです。
つまり、企業側のその面倒さを上回るメリットが、
フリーランスに発注することで得られる、と確信で来て初めてそうする。
だからこそ、フリーランスにとっての案件獲得力=営業力は
技術以上に重要な要素となります。
単価を下げざるを得ない現実
フリーランスは、会社員より稼げる「可能性」はあります。
ただし、それは「高単価の案件を継続的に取れる人」に限られます。
調査レポートでは、案件を決める際に「単価の高さ」を重視する人が47.3%。
ところが同時に、31.8%が「案件選びで単価を下げざるを得なかった」と回答しています。
さらに、「興味のないプロジェクト内容を受け入れた」が21.8%、
「稼働時間の柔軟性を諦めた」が19.1%となっています。

これはかなり現実的な意味をもつ数字です。
理想としては、好きな仕事を高単価で受けたい。
しかし、現実には収入を確保しなければならない。
案件が途切れる不安がある。
よって、本当は望まない条件でも受けざるを得ない。
ただ仕事があるだけまし、という見方もできます。
実際、妥協せざるを得なかった理由として、
「収入を確保する必要があったから」が62.0%、
「案件が途切れることへの不安があったから」が36.6%とされています。

つまり、フリーランスは「自由に案件を選べる働き方」ではなく、
「選べる状態を維持し続けなければならない働き方」なのです。
ここにあるのは結局、営業力そのものですね。
長期案件を選びたい、それわかります。
フリーランスというと、短期案件を次々とこなしながら自由に働くイメージがありますが、
現実には長期案件を好む人は存外に多い。
調査レポートでは、長期案件を好む理由として「収入が安定するから」が71.1%、
「案件探しの手間が減るから」が55.6%とされています。
さらに、週5日以上稼働するフリーランスが58.2%を占めているという結果も示されています。


これは、かなり会社員に近い働き方です。
週5日働き、ひとつの案件に深く入る。
収入の安定を優先して案件探しの手間を減らす。
私の知人でフリーランスエンジニア(法人化している)している人に聞くと、
長期案件が欲しい、それに週5日どころか週7日働いている、と。
まぁこれが実態だと思います。
ひとり社長で、休む暇がある人をあまり聞きません。
それに企業とは雇用契約ではなく業務委託にになります。
当然ながら会社員とは違います。
実態としては「会社員より自由」ではなく、
「会社員に近い働き方をしながら、会社員ほど守られていない状態」です。
ここを理解せずに独立すると、ギャップに苦しむことになります。
だって、365日ずっと営業しつつ、エンジニアとしてのアウトプットも出し続ける、
これが私の知っているフリーランスエンジニアの姿です。
法人化とnote・SNS収益の現実
ここではnote株式会社が公表している、以下のデータを参考に考察してまいります。
- note IR「2025年11月期 第2四半期決算を発表しました」:2025年6月に会員登録者数1,000万人突破、公開コンテンツ数6,000万件超。
- note IR Monthly Report 2025年6月:会員登録者数1,000万人突破、MAU 7,359万人(2025年2月時点)。
- note株式会社プレスリリース(2025年4月8日):累計20万人のクリエイターが収益化、年間販売総額170億円超、売上トップ1,000クリエイターの年間平均売上1,332万円。
法人化しても楽になるわけではない
フリーランスとして売上が増えてくると、法人化を考える人も出てきます。
いわゆる、ひとり社長、マイクロ法人、合同会社化などです。
法人化にはメリットがあります。
経費計上の幅が広がる場合があり、役員報酬を使った設計もできます。
対外的な信用が上がることがありますが、組織化していかないと難しいです。
消費税や所得税との関係で有利になるケースもある。
しかし、法人化すればすべてが楽になるわけではありません。
一例として、法人化すると、たとえ社長ひとりの会社であっても、
原則として厚生年金と健康保険への加入義務が発生することです。
会社員時代は、社会保険料を会社と本人で折半していました。
しかし、ひとり社長の場合、個人負担分も会社負担分も、結局は自分の事業から出ていきます。
会社が半分払ってくれるように見えても、その会社は自分の会社です。
つまり、法人化した瞬間に、社会保険料の「会社負担分」も実質的には自分で稼がなければならないのです。
こういう一見、地味なところが大変なんですね。
法人化は節税だけで判断してはいけません。
社会保険料、法人住民税、税理士費用、会計処理、事務手続き、資金繰り。
これらを含めて考える必要があります。
ひとり社長であれば、資金繰りでショートしてもまだ被害は小さくて済みますね。
社員を雇うことになった瞬間から、そうは言っておれなくなります。
私自身も若い頃に経営していた会社(社員は数十人)が倒産した経験があるので、
資金繰りの話にはピリピリしてしまいます。
noteやSNSで稼ぐのは、思っている以上に狭き門
最後に、ここは注意深く読んでいただきたいところです。
noteやSNS、YouTubeなどで個人が稼ごう、稼げるという話をよくみかけます。
それ以前に「会社に頼らず、個人で稼ぐ」てなんか格好いいように見えます。
例えば:
・noteで有料記事を売る。
・YouTubeで広告収益を得る。
・SNSで集客する(最近はXよりThreadsのほうがブルーオーシャン的)
・オンライン講座を販売する。
こうした方法、たしかに可能性はあります。
しかし、「誰でも簡単に稼げる」と考えるのは危険で甘い夢です。
noteは2025年6月に会員登録者数が1,000万人を突破し、
2025年2月時点の月間アクティブユーザー数は7,359万人に達したと公表しています。
また、2025年4月の発表では、累計20万人以上のクリエイターがnoteで収益化し、
年間販売総額は170億円超、売上トップ1,000クリエイターの年間平均売上は1,332万円とされています。
この数字だけを見ると、noteには大きな可能性がありますよね。
可能性はあっても同時にこの数字から見える現実もあります。
会員登録者数が1,000万人を超えている中で、収益を得たことがある人は累計20万人以上。
単純計算では、会員全体のうち収益経験者は約2%程度です。
さらに重要なのは、
「収益を得たことがある」と
「生活できるほど稼げている」
は全く違うということです。
ここ勘違いしている人が意外に多いです。
noteで売上が立った(私も毎月大きくありませんが売上が立っています)、
しかしそれで生活できるかというととんでもない。
ただnoteをじっくり探すと、確かに1000万円(年間)超えの方もたまに見かけます。
数字をもう一度見ていきましょう。
売上トップ1,000人の年間平均売上が1,332万円ということは、
トップ1,000人だけで単純計算すると約133億円になります。
noteの年間販売総額が170億円超だとすれば、
残りの大多数のクリエイターで分け合う金額は、おおよそ数十億円規模になります。
仮に「月3万円以上」をひとつの副収入ラインと考えても、年間36万円です。
トップ1,000人以外に残る金額をすべて月3万円以上の人に配分したとしても、
理論上は1万人前後が上限になります。
もちろん、これは公開データからの大まかな推定です。
実際の数字は公表されていないため断定はできません。
ただ、少なくとも言えるのは、noteで「生活できるほど稼げている人」は、
会員1,000万人の中のごく一部だということです。
note、YouTube、SNSで稼ぐことは不可能ではありません。
しかし、誰でも簡単に稼げる世界ではないということですね。
では、稼いでいる人のコンテンツをよくよく見ると、あることに気がつきました。
それは;
例外なしに、労力を惜しまずアウトプットを出し続け、
しかも非常に戦略的な思考に支えられている点です。
何も考えずに作業をしているのではなく、非常に緻密に
試行錯誤の手間を惜しまず、フィードバックし改善を続けている。
だからか!と思っています。
戦略的に失敗を恐れず継続して発信し、
読者との信頼関係を作り、
商品やサービスへの導線を設計し、
改善を続けられる人だけが残る世界です。
そんな人がトップ1000にあたります。
それでも売上トップ1,000人の年間平均売上が1,332万円
日本のサラリーマンとしては高額年収に相当しますが、
フリーランスとして会社に指示されず、自由という名目で頑張っているわりには
正直極端に大きな金額とも言えず、まぁまぁかなと思います。
思うに、例えば「noteで1000万円以上稼ぐ」フリーランスにとって最大の課題は、
同じビジネスモデルがいつまで続くか?
ではないでしょうか。
このリスクヘッジのために、個人相手のnote記事販売・メンバーシップ・マガジン
だけではなく、そのうち企業から声がかかって「長い」契約ができること、
どうしてもそこに目がいってしまうのも仕方のないことだと思います。
いずれにしても、フリーランスで生き残る人は、
自由を夢見る人ではなく、現実を設計できる人
だと確信しています。