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AIと離れ、万年筆&システム手帳が「思考」を甦らしてくれる日~男のシステム手帳レビュー⑨

私の「複業」のうち、5割くらいはAI絡みです。
残り2割は面接官、2割は教育関係の業務委託です。
残り1割がインターネット黎明期から当時副業で始め継続しているネット活動になります。

ただ比率は常に変動して、ネット活動が9割くらいになる月もあれば、
面接官の仕事は時期にも左右されるのでほぼそれに集中する月もあります。

最初からこういう複業だったわけでは決してなく、もともとは普通に
サラリーマンで毎日会社へ通い、途中副業でネットを始めざるを得なかった身ですが、
会社をリタイア後にもそれまでの企業活動とつながりから有難いことに
複数ジャンルの仕事をさせてもらっています。

AI絡みの仕事は、もともと車載系(先進運転支援システム、自動運転関係)で
日が当たらない裏方のような仕事で長い間もぞもぞしていたのですが、
2022年に生成AI(ChatGPT)が登場してからは世間の注目度が変わって
これに応じて忙しくなってきた経緯があります。

いろいろと仕事の配分が変化していくなかで、変わらないものがひとつ。
それは、仕事であれプライベートであれ、何かの計画を立て、
何かの行動を起こし、そこで得たなにものかを記すために
システム手帳が欠かせないということです。

ということで、今回そのシステム手帳の話をします。
ただ生成AIやAIエージェントの活用含めて日々溜まった
「AI疲れ」にも大きく関係しているのでその話を先にします。

AI疲れは思考停止を呼ぶ

先ほど述べた車載系の仕事の中にも、生成AIやAIエージェントはとうに組み込まれております。
ただし企業内で入出力情報ともしっかりセキュリティ面でガードされたクローズドな範囲の中。

むしろ、一般に開放されている生成AIやAIエージェントのほうが
動きも速く、どんどん恐ろしいとまで思えるような機能が膨らんでいる状況です。

そんななかで、私が車の仕事以外で活用しているものとしては;

  • ChatGPT
  • NotebookLM
  • Manus1.5

いずれも無料版経由して、すべて有料版を使っています。

無料版はたとえるとスーパーマーケットでの試食、
有料版はちゃんとしたレストランで食事してる感じです。
しっかりとAIを使ってみるなら、しかも遊びでなく仕事で使うなら無条件に有料版を選ぶべきです。
(この件では反論の余地はありません。無料版は遊びと割り切るべきです。)

私はこれら3つを全部使い分けています。
ざっくり言うと、
ChatGPTは、企画構想での練りこみ、ブラッシュアップ
NotebookLMは優れたインフォグラフィック(パワポのネタ材料にもなります)
Manus1.5は資料の最終段階まで追い込みまとめるためのツール

といってもなかなか伝わらないだろうと思います。
実際のところ、境界線があいまいで使ってみないと得手不得手が肌感覚で掴めません。
例えばChatGPTにNotebookLMやManus1.5がより期待通りに動くような
プロンプト作成をさせる(内容によって英語のプロンプトのほうがチューニングしやすい)
とかです。

また2025年12月現在、話題のNano Banana Proは単体ばかりでなく実は
NotebookLMにも使われ、そして2025.12.3には遂にManus1.5にも搭載されました。
NanoBanana Pro単体で使うよりも圧倒的に便利だと理解しています。

Manusでは12月3日、こんな画面が突然出てきました!

Nano Banana ProがManusで使えるようになった!

Manusについては、noteにてあまり知られていないTipsも記事にしたので
ご興味ある方は是非こちらをご覧ください。
>> 使っているからわかるManus1.5(AIエージェント)攻略法

ちなみに、スライドについてはManusもNotebookLMも「一見きれいなパワポ」を
作ることができますが、私見ではビジネスの現場ではそのままではどうかなと思います。

例えば経営者向けに何かを説明する際に、きれいなインフォグラフィック含めて
雰囲気を伝えることが重要ではなく、
数字・ファクト・ロジック
でわかりやすく見せることが何よりも重要です。

これがビジネスパワポでの本質であり、経営者が「腹に落ちる」には
この要素なしではほぼ相手にされません。

営業パーソンが顧客に何か提案する際もまったく同様です。
顧客窓口も人・モノ・金に関係することは社内で関係者を納得させる作業があるはずです。
そういうときに、スライド(パワポ)のキレイさと別に数字・ファクト・ロジックの明解性が
モノを言うことは誰かを動かすための資料作りしたことあれ人ならわかるはずです。

NotebookLMが作った雰囲気がよいスライドを見て、「すごい!」と思われても
実際のビジネスではそのままでは足りないか余計な情報が過剰であって
私はほとんどが使い物にならないと考えています。

つまりNano Banana Proの作ったスライドも実際のビジネスで使ったところで、
そもそもの目的(例えば商談を進めること)を果たせるとはあまり思えません。
(パワポの見た目の良さと仕事で伝わるかどうかは全く別の話です)

しかもNoteboookLMでは今のところPDFでしかダウンロードできませんのでますますNG。
ManusのほうはPPTでダウンロードできるので、あらためてPPTを立ち上げ編集できるだけマシです。

イメージではなく、しっかりと数字・ファクト・ロジックで土台のあるパワポこそが
ものを言い使い物になるのですが、Nano Banana ProはそこにポイントがあるAIではありません。

少なくとも私はNano Banana Pro(または統合されたNotebookLM、Manusでも同じ)で
作られたスライドをそのままビジネスの現場に持ち出す勇気は全くありません。

どう見ても、AIの匂いがプンプンしていることと、他人の言葉で書いてあり、
私ならこうは説明しないだろうという表現だからです。
一見カッコよくても気持ちが乗らないスライドを勝負に使う気には全くなりません。

さて、何の話をしているかというと、私の生活も比較的穏やかに仕事していた
車のAIだけにとどまらず、それ以外の仕事にも生成AIやAIエージェントがどんどん侵入しており、
ある意味ではAIベッタリの生活にもなってきました。

この記事をご覧になっているあなたもそうかもしれませんね。

気がついたらAIまみれで、とりつかれているくらいに
ハマっている方もいらっしゃるかと容易に想像できます。

こんなとき先月(2025年11月)NHKニュースで40年以上前に出版された
外山滋比古さん「思考の整理術」が多くの若者にブームの様子が放送されました。
(この本は全国の大学でNo.1の人気でなんと300万部以上の実績!)

番組では若い女子学生がこの本を読んで
自分のことだ
と思ったとコメントがありました。

今やなにか気になることがあったらAIに尋ね、
スマホで安直に返事をくれるAI。

とても便利で頼りにしているのですが、ある時
『考えることをしなくなった自分』
にはたと気づいたそうです。

人とAIを分けている一つはまさに「考える」ことにあるのです。
(AIは単に学習→推論しているマシンなので考えているわけではありません)

AIに何の考えもなくハマる人は、だんだんとAIに任せることが増え、
考えることもAI任せの判断に委ねてしまう可能性があります。

つまり、

思考停止のまま日々暮らしている
状態になるリスクが大きくなるということです。

さて、前置きがずいぶんと長くなりましたが、
私自身も日々AIにどっぷり浸かっているせいもあり
この思考停止リスクを回避するために

AI(スマホやPCにも)にまったく触れない
ひとりだけで考える時間を大切にしています。

そのときの相棒が、私の場合はシステム手帳となっています。

思考に浸る時間をシステム手帳と万年筆で作り出す

12月の寒い日の平日、客先での打合せ前に時間がたっぷりあり
タリーズコーヒーの窓際に構えました。(スマホやPCは見ないようにしています)

KNOX FLUCTとプロフィットギアスリムでチャート案検討中
KNOX FLUCTとプロフィットギアスリムでこの記事ネタ作成中

万年筆以外にも、ゼントシグニチャーモデルやジェットストリームなんか使っています。
顧客との商談で向き合っているときは、手軽にボールペンです。
万年筆だと一呼吸、間が空くしまた少し威圧感があるケースもあるのでジェットストリーム。

万年筆を使うときは、静かで自分だけの時間をもてるときに限ります。
ペン先に力をいれずともスルスルと、ペン先をまさに置くだけでよいので
考えに集中できることがメリットです。

また、わずかに力を添えると少し線も太くもなり、細くもなり、
感情の起伏もそこに残すことがなんとも気持ちいいのです。

こういう時間があると、自分の内面に深く向き合うことができます。
AIの返事でわかった気になるのではなく、本当に考えることの重要性に気づけるものです。

ということで、今回画像ではぼかしており中身はお見せできませんが、
ちょうど読んでいた傑作本の中でご紹介したい話を書いていました。

私が心底尊敬している方のひとりに1941年生まれの
山本 義隆(やまもと よしたか)さんがいます。

その昔、学生運動の闘士という面白い方ですが哲学者であり、
「磁力と重力の発見」は第1回パピルス賞、第57回毎日出版文化賞、第30回大佛次郎賞
と総なめにした名著で私はこれ読んで本当の思考力を垣間見ました。

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世
磁力と重力の発見〈1〉古代・中世

amzn.to

山本 義隆さんの言葉は強烈です、私の心に突き刺さるものでした。
AIに言われたところで受け流すだけですが、地頭を使った本物の言葉は違います。

それは、

人はなぜ学ばないとならないのか?

という万人への問いかけです。

人は学ぶことでしか成長できないと私も信じています。
長いこと社会生活を送っていると、やはり学びをやめない人はいつも輝いている。
年齢を重ねているならなおのことですが、若い人でも学びを重視する人は光っている。

そのように理解していますが、そもそもなぜ学ぶ必要があるのか?
このことをうまく言語化できないでいました。

彼はこう話してくれます。

専門のことであろうが、専門外のことであろうが
要するに物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。
たったこれだけのことです。

山本 義隆さんの言葉より

実に目から鱗とはこのことです。

わかりやすい!そして確かに腹に落ちる!
そうなんだ、こういうことか!

と初めてこの言葉に接したときに感じた思いを、
それ以来ずっと今でも大切にしています。

ときどき面接官の仕事の中で、学生や中途応募者が考えることの難しさ、悩みを語ってくる場面もあります。
こういう心情を正直に語ってくれる人は、人生でぶつかる困難を正面から捉えている傾向が強い。
で、私は山本義隆さんの言葉を借用させてもらっています(笑)

システム手帳と万年筆の話をしてるつもりが、どんどん話が横道に入って申し訳ございません。

ただ、すべて繋がっております。
愛用の肌身離さずのシステム手帳だからこそ、真に重要なことを書き留めたり
振り返ったりできるツールであり、そのツールを活かすための思考の場を
あなたも作ってみませんか?という話でした。

システム手帳の良いところは、皮革が購入した瞬間から変わっていき
手に馴染み、中身(リフィル)はどんどん遠慮なく自由に使えて、
たまったリフィルを別に保管するか捨てるかも自由、
ただ手帳本体が自分自身とだんだんと一体になるように思えるところです。

万年筆を紙のうえにそっと置いて、想念を文字や絵に落としていくと
物事の輪郭が次第に現れてきます。
そのプロセスはAI活用ではまず体験できません。

たまには、AIとまったく離れてそうしましょう!
という毎日AIに浸かり疲れ気味のあなたへのお勧めです。

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