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プロジェクト・ヘイル・メアリー考察|アンディ・ウィアーが描いたAIの本質に震えた!

2026年3月20日(金)に公開された映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」
前々から絶対に初日に行くことを決め、朝イチで行ってまいりました!

映画についての感想・レビューは、これからいくらでも目にされると思います。
私はあるジャンルのAIシステム開発に長く関わっています。
原作と映画の両方を鑑賞して気づいた、ちょっと風変わりな視点でレビューしたいと思います。

「一緒に宇宙を旅できる!」
原作ファン・岸井ゆきの、“最高の映画体験”に大満足

のっけからあれですけど、俳優の岸井ゆきのさんインタビュー記事がとても秀逸です。
私の感想も完全に代弁されていますし、何よりこの映画なんとなく面白そう、
映画行ってみようかな~と思っている方は是非お目通しください。

どんな物語なのか、私の下手なレビューなんかよりも
はるかにリアリティに富む素敵なインタビュー記事ですよ。

映画ナタリーのプロジェクトヘイルメアリー特集記事です。

映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」特集 | 「一緒に宇宙を旅できる!」原作ファン・岸井ゆきの、“最高の映画体験”に大満足 - 映画ナタリー 特集・インタビュー
映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」特集 | 「一緒に宇宙を旅できる!」原作ファン・岸井ゆきの、“最高の映画体験”に大満足 - 映画ナタリー 特集・インタビュー

「ラ・ラ・ランド」「ブレードランナー 2049」「バービー」などで知られるライアン・ゴズリングが主演を務めた映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が、3月20日に日米同時公開される。

natalie.mu

インタビュー記事では、岸井ゆきのさんの
・ライアン・コズリング愛
・原作者のアンディ・ウィアー愛
が深く溢れてて、また私もこの点ではまったく一緒です。

岸井ゆきのさんは「すでに原作を三度読み」したそうですが、
私は「二度読み」なのでまだまだですね。

で、先にこの原作、ハヤカワ文庫の本をちょこっとご紹介!

文庫本~レアな二重カバーに驚き

プロジェクトヘイルメアリーは上下2巻で構成されていて、
Amazonへ注文した本が届いたとき、軽い驚きがありました。

なんか表紙カバーに違和感があったので、よく見ると・・・

なんと、最初に出版されたときのカバーのうえに、
映画化されたことをアピールする新しいカバーが重ねてありました!

最初に出版されたときの宇宙船と宇宙で遊泳している様子のカバー。
これは原作にかなり忠実なイメージです。

通常は新しいカバーだけのはずが、どういうわけか
古いカバーのうえに被せてあったことでレアなものを手に入れた気分になりました。

アンディ・ウィアーの精密な科学的知見が重層的に面白くしている

映画の感想は省略しますが、ひとことで言うなら
「近くもう一回は行きます!」です。
これで十分お分かりかと(笑)

で、ここではタイトルに書いた
原作者アンディ・ウィアーのAI知見
について触れたいと思います。

原作全体を通して言えることですが、
科学的に理にかなった話、少なくとも科学的な説得力を持つ説明
が随所に出てきます。
(映画ではかなり省略されていますが仕方ありませんね)

主人公グレースと超ユニークな異星人(ロッキー)とのあり得ない物語が
この科学によるバックボーンで実にリアリティ豊かに表現され、
きっとのめり込んでいき、その面白さに圧倒されます。

映画という限られた短い尺の中で、この科学をグダグダ説明しているヒマはありません。

映画の冒頭で、宇宙船の旅でグレースが永い昏睡状態から目覚めるシーンが出てきます。
目覚めを検知する医療システムのアームが、あれやこれやと活躍します。

この医療システムは、昏睡管理システムと呼ぶべきもので原作から引用すると;

昏睡状態にある対象者のケアをします。
つねに、バイタルをチェックし、必要とあればどんな医療措置もほどこし、
栄養補給し、体液のモニタリングをし、等々。

実際に医師が同行できればそれがいちばんでしょう。
しかしこれは間違いなく次善の策といえます。

そしてプロジェクトの責任者が、これは人工知能(AI)なのか?と聞くと、

いいえ。

複雑なニューラル・ネットワークを開発する時間はありません。
これは完全なるプロシージャル生成

非常に複雑ですが、けっしてAIではありません。
何千回も試験をして、それがどう反応するか、それはなぜか、
知る必要がありますから。

ニューラル・ネットワークではそれはできません。

という説明が出てきます。(太字・赤字はKENBOによる装飾)

ここなんですね、アンディ・ウィアーがAIの本質をきちんと見抜いているのは。
私が上下巻通じて、著者の知見に一番びっくりしたのはここでした。

その前にプロシージャル生成って見慣れない言葉が出てきますね。
これ自体、普通にわかる方はそんなにいないと思います。

アンディ・ウィアーがこの言葉を用いて、生成AIとの違いを述べているのですが
原作の出版は2021年5月であり、生成AIの代表例であるChatGPTが世に出てきたのは2022年。

つまり生成AI出現のだいぶ前に執筆した本の中で、AIの弱点・本質をキッチリと
述べていることに大変驚いたのです。
(ただし、この弱点は未来に登場すると言われる汎用人工知能:AGIの時代には
 どうなっているかわかりませんが)

プロシージャル生成とは、人間が書いた手続き(アルゴリズム)によって動作するもので
従来からあるように人が普通に作ったプログラムで動く、と理解しておけば良いです。

ただ、これだけではようわからん!
という方は少し詳しくまとめた次の表をご覧になってください。

比較項目プロシージャル生成AIによる生成
仕組み人間が書いたアルゴリズム・ルールデータから学習したモデル
制御性高い(出力範囲を厳密に制御可能)低〜中(出力を完全には制御しにくい)
予測可能性高い(同じシード=初期値なら同じ結果を出す)低い(確率的・非決定論的)
創造性・多様性ルールの範囲内に限定されるルールを超えた多様な出力が可能
計算コスト一般的に低い学習・推論ともに高コスト
データ依存不要大量の学習データが必要
解釈可能性高い(ロジックが明示的)低い(ブラックボックス的)
代表例No Man's Sky、Minecraft、Hades、Deep Rock Galactic(以上はゲーム)、
Houdini、Gaea(地形生成ツール)
ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)、
Midjourney、Stable Diffusion、DALL-E 3、FLUX.1、
Sora(OpenAI)、Veo 3(Google)、Runway ML

この表の特に「予測可能性」の項目に注目してください。
AIのアウトプットにはそもそも100%という概念がありません。

同じシード(同じ初期値)を入力しても、まったく同じ結果にはなりません。
同じ生成AIに同じプロンプトを入力しても返ってくるものは、似たようでいて微妙に違うはずです。
そのことは一度でも生成AIを使ったことがあれば体感されているかと。

話をプロジェクトヘイルメアリーの引用部に戻すと、
「ニューラル・ネットワークではそれはできません。」
とは、

昏睡状態にある人に対して、何かが起こったときに
期待できる同じ結果が得られる保証はない、
ということをAIの性質から明言しているのです。

一方でプロシージャル生成では、
こんなことが起きたらシステムがこう反応する
という再現性が担保されているわけです。

何がどうなるか予測できる、それがうまい下手ではなく、
完璧ではないにしても、とにかく正確に予測できる、
これは重要なテーマです。

ニューラル・ネットワーク(=生成AI)では確率論になり予測できない懸念が残る、
昏睡状態の人になにかあったら、このシステムは設計者が予想していない反応をするかもしれない。

だから生成AIではヤバすぎる、
そういう話をしているわけです。

この記事では、重箱の隅をつつくような話をしていますが、
ドラマチックな物語にこういった科学的知見が重層的に織り込まれ、
否応なしに盛り上げてくれる。

それがプロジェクト・ヘイル・メアリーです。

あとがき

プロジェクト・ヘイル・メアリーのプロジェクト繋がりでせっかくなのでPRです。

2026年3月に「人機共創プロジェクト HACC」という商品をリリースしました。
ここで使ったプロジェクトという単語は、そもそも
目標を達成するために策定した計画やその行動
のことです。

プロジェクト・ヘイル・メアリーという映画を知っていたからではありません。
2年前から構想し練っていた商品だったからです。

人機共創プロジェクトの、
人=Human
機=Machine、AI全体を示します。

Human-AI Co-CreationでHACCです。

AIを単に「使う」から、AIと「共創」する次元に持ち上げることで
稼げなかった自分を稼げるように変身させるプロジェクトです。

よくある「〇〇AIの使い方」ではありません。
それだと3か月くらいで賞味期限切れになりますので。

▼人機共創プロジェクト HACC

人機共創プロジェクト HACC
人機共創プロジェクト HACC

AIを使うからAIと共創するへ。自分の強みを再発見し、商品化・収益化へつなげるHACC実践プログラム。

www.ifrv.net


最後にひと言付け加えると、もし映画をすでにご覧になった方も
是非、原作をお読みいただくことをお勧めします。

原作は、濃厚、濃密です。
映画の尺では理解できなかったことがすべて明快にわかります。

勉強家であるアンディ・ウィアーにあっぱれ!
と素直に敬服します。