AI業界を図解

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「AI業界ってどうなってるの?」を図解~"AIをよく知っている人"の位置付けもスッキリ

この記事投稿時点(2025年8月)では、もう生成AIの話題も一巡して
大半の人には驚くような話でもなくなってきました。

noteやBrain、YouTubeなどを見ても
『〇〇生成AIの使い方』
がどんどん更新され、新しいサービスや既存サービスのバージョンアップによる機能を
解説しているコンテンツが急激に増えていますね。

しかもテキストからテキストはもとより、
画像生成、動画生成といよいよ現実と仮想の境界線があいまいになりつつあり、
いずれにせよこの加速は止まらないでしょう。

しかもエンドユーザーである私たち消費者の層が圧倒的に大多数ですので、
必然的にnoteなどで使い方説明は人気が広がっているのも当然でしょう。

ただ、AI業界の構造、誰がどんな役割で仕事をしているかを
説明しているコンテンツは見たことがないのでここで整理してみました。

これがわかると、俗に「AIをよく知っている人」の
ポジションも明確に理解できます。

AI業界の構造をざっくりと図解すると

AI業界のステークホルダーと言いましょうか、役者、役割は
ざっくりですがこのような図で説明できます。

川の流れをイメージしてみましょう。
上流である『川上』があって、下流の『川下』へと流れています。

この図のように『川上』から『川下』に向かって、
4つに分けたステークホルダーを考えてみます。

  • 基盤モデルの提供者
  • 基盤モデル提供とエンドユーザー向けサービスの提供者
  • API利用業者
  • エンドユーザー

と、それぞれを解説します。

まず基盤モデル提供者とは、基盤モデルのみを提供している企業のことです。
基盤モデルとは、AIのアルゴリズム
のことだと思って構いません。

ある目的に特化したAIアルゴリズムを開発して、
企業、研究機構、大学などへ提供している人たちのことです。

基盤モデルには、生成AIのようなLLM(大規模言語モデル)だけではなく、
自動車でよく使われる物体検出などのAIモデルなどいろいろあります。

エンドユーザーである私たちに直接サービスを提供はしていません。

次に、”基盤モデル提供とエンドユーザー向けサービスを提供者”とは、
アルゴリズムを作って企業なんかにAPIを提供するだけではなく、
エンドユーザーである私たちにも同時にサービスを提供している人たちです。

両輪、ハイブリッド型で活動しているのですね。

ここでAPIとはApplication Programming Interface
(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)
の略であって、基盤モデルをAPI通じて何かの製品に実装したり、
サービス化するための機能のことです。

API利用業者とは、基盤モデルを利用して何らかのサービスにして
エンドユーザーである私たちが『専門知識なしでも使える』形にして
提供する人たちのことです。

なおここでは省略しましたが、API経由ではなく
オープンソースとしてモデル配布(ダウンロードしてローカル実行やカスタマイズできる)
する形も存在します。

オープンソース(OSS)とは、ソースコードを無償で一般公開し、
誰でも自由に使用、改良、再配布できるようにする開発モデルのことですが
ライセンスや著作権の扱いについても制限があり、勝手に自由に何でもOKではありません。

こちらのオープンソース提供では、まるまるアルゴリズムを含むソースコードをもとに
何らかの製品用やサービス向けに開発を行うことになります。

いずれにせよ、そのために必要なスキルを持つエンジニアがいて、
利用する企業もその力(開発や営業費用など)が無いとどうにもなりません。

エンドユーザーとは言うまでもなく、
サービスの利用者である一般の人(消費者)のことですね。

因みにエンドユーザーが利用できるAIサービスと、
ついでに最近話題のAIエージェントについては
一つ前の『生成AIツール種類と孫正義さんのAIエージェント構想(スターゲート計画)
という記事でご紹介しています。

AI業界って具体的にどんな会社がどんな役割しているの?

では、具体的に4つの区分での役割をそれぞれ誰が担っているのかの
ほんの一例を図にしてみました。

少しはイメージが掴みやすいと思います。

基盤モデル提供とエンドユーザー向けサービス提供者

最初に、基盤モデル提供とエンドユーザー向けサービスを提供する側が
おそらく最も身近に感じられるはずですのでこちらから。

ChatGPTを提供しているOpenAIは一番よく知られているのですぐにピンときますよね?
GPTシリーズ(GPT-4o、GPT-5)、DALL·E、Whisperなんかを提供しています。

次、GAFAMに行きましょう!
Googleは、PaLM 2 、Gemini(旧Bard)、Google翻訳、検索エンジンなんかを提供。
Appleは、Siri、iOSの写真分類AI、予測入力AIあたり。
Meta(Facebook)は、LLaMAシリーズ(LLaMA 2/3)、広告配信AI、画像認識AIあたり。
Amazonは、Alexa、AWS AIモデル(Titanなど)、Amazon Go店舗AIなど。
Microsoftは、Azure AI、Copilot(GPT-4連携+独自AI)、Translatorなど。

GAFAMはみな、B2BとB2Cの両方をやっている二重構造です。

Midjourneyは、独自の画像生成AIモデルを開発する基盤モデル提供と同時に、
Discord上のBotを通じてエンドユーザーが直接利用可能なサービスも提供しています。

基盤モデルだけを提供している企業

この代表例は、海外での一例はAnthropic(アンソロピック)。
2021年にできたこの会社は、ClaudeシリーズのLLMを開発公開しており、
OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、xAIのGrokなんかとも競争しています。

この会社は、Claudeシリーズを主にAPI経由で企業に提供しています。

図に書き洩らしてしまいましたが、超有名どころでnvidia
いわずとしれたAIのエンジンともいえるGPU(Graphics Processing Unit)の独占開発企業です。

余談ながらGPUはグラフィックスという文字通り、画像処理エンジンとなる半導体チップですが
AIでよく使われる演算処理に向いていて、通常のCPUよりはるかにその点で高速です。
ゲームマシンなんかでも使われるのは、ゲームは画像処理の塊のようなものだからです。

国内で話題のひとつは、Sakana AI(サカナAI)。
2023年にできたばかりの企業ですが、やっていることがとてもユニーク。
Sakana AIの立ち位置は、AI基盤モデルの研究開発・提供に特化していることです。
(例:独自LLM、モデル融合技術など)

なかでも、AIに求められる学習能力のアップ以上に
推論能力を効果的に測りつつ、それを人間の洞察力や創造性に近づけるにはどうしたらいいか?
と推論(リーズニング)に力を入れていて独創的な開発を進めています。

API利用業者

AIを使って何らかのサービスを提供している会社です。
国内外で大中小企業がせめぎ合っている領域でもあります。

図では、IT関連企業としてLINEヤフー、楽天モバイル、富士通だけ記載しています。
また自動車関連の領域も図に載せました。

LINEヤフー、楽天モバイルはB2Cがメインだとも言えますが、
富士通の場合はB2Bで顧客は企業なので立ち位置からするとちょっと別枠ですが、
API利用業者としてはその通りなので記載しています。

国内自動車メーカのほとんどすべてがこのAPI利用業者に該当します。
海外の自動車メーカーでもBMWしか記載していませんが、もちろんこれだけではありません。

自動車の例を持ち出したのは、たまたま私が関わっている企業も
車メーカーと一緒に、基盤モデルを応用する仕事に携わっているからです。

私の『複業』のひとつになりますが、API利用業者(車メーカー)と
一緒に(といっても業務委託という下請けの下請けで(笑)、
車にAIを実装する仕事に10年以上前から携わっています。

要するにAIのAPI利用業者の『裏方』で働いているようなものです。
世間のAIエンジニアとは、基盤モデルを作る仕事に携わる人は稀であって、
ほとんどがこのAPI利用業者そのものである企業か、或いはその協力会社、
またさらにその下の協力会社で働いている、人たちだと想像できます。

機密保持がありますので、一般的なことしか話せませんが、
例えば昨今の自動車にはどれもADAS(先進運転支援システム)が搭載されています。

カメラ、レーダー、赤外線センサー、超音波センサーなどを駆使して
ドライバーをさまざまな点でアシストする機能のことです。

この実現のために、ソフトウェアライブラリ、SDK、
AI基盤モデル(多くはAPIや組み込みモジュールとして提供受けます)
をコンピュータチップとともに車の中に統合していきます。

生成AIの使い方を紹介していくような、表舞台の話と違って
普通に地味な開発業務ですし、そもそもほぼ全ての情報は機密にあたるので
一般の方が知りようも無い世界とも言えます。


「AIを知っている人」は普通にエンドユーザーの中にいる

noteなどでは、画像生成、動画生成なんかで盛り上がっている記事をよく見かけます。
サブスクで収益化している方も多く見かけます。

こういった方々はAIのエンドユーザーでありながら
『生成AI〇〇の最新の使い方や実用的な使い方』
に習熟しているので、それを売り物にできるのですね。

これは簡単そうでも、地道に実際にどれほど生成AIを使っているかどうかが勝負です。
また無料版の生成AIではなく、しっかり課金して有料版を使わないと無理だと思います。

ほとんどのエンドユーザーは、例えば画像生成AIが作り出した
ジブリ風画像、リアルと区別がつかないくらいの実写風の画像・・・
こういったものに目を奪われます。

すげぇなぁ~!と思ってもそこから奥に踏み入れて
実際にお金を払って自分で作ってみる、しかも
繰り返し試行錯誤しながら続けられる胆力、精神力、根性を
もっているかどうかとなると、ほとんどいなくなるのが実情です。

しかも生成AIの進化は日進月歩ではなく、秒針分歩の速度で進化中です。
これに追いついていけるかどうか、そのための労力を惜しまない人が
収益を出せるのだと見ていてわかります。

エンドユーザーは最も層が厚く、つまり圧倒的に参加者が多いのは
どの世界であっても共通です。

いわばAI業界のボリュームゾーンは、言うまでもなくエンドユーザー層になります。

従って、『AIで稼ぎたい』と思うならばAIの原理を深く知ることは不要であり、
いかに『生成AI●●の使い方』に詳しくなるかどうかが基本かと。

『どの生成AIを選べばよいですか?』
と聞かれることが多いのですが、これ愚問です。

勝負がついていない現段階ではなんとも言えませんね。
その答が出ているころは、完全後発組となるのも見えています。

それより、これだ!と思った生成AIについては
課金してしっかり使い込むほうが成果を出すにも優先だと思います。

課金するとアウトプットの精度がまるで違うことに気づくはずですし、
なにより元を取るにも利用が多くなり、アウトプット『量』が増えていくはずです。

質よりも量をこなしていくと、見えてくるものがある
それが今の生成AIに潜んでいると確信しています。

振り返ってよく考えてみるとわかりますが、AIをよく知っている人とは、
『使い方』をよく知っている人であってそれで充分なのです。

AIの仕組みを全く理解していないでも構いません、使い方さえわかっていれば。
というのが結論です。



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